「生活者の視点から生きた知識を創る体験的社会科研修」とは何か 4

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5.説明力を強化する

社会科の授業はこれから先、

生徒主導型で、話し合い重視の流れが濃厚になると思うが、

入試や進度のことを考えると一斉授業が基本型であることに変わりはないと思う。

一斉授業では教師が説明するケースが多い。

生徒は集中力が持続せず、

理解力が低下していることを前提にした場合、

教科書に記述されている内容を膨らませ、

わかりやすく、着眼点をはっきりさせ、

生活に結びついた具体例を取り入れるなどしながら

生徒が興味を持てるように説明しなければならない。

また生徒主導型の取り組みにもっていくためにも

日頃から教師がお手本となるような姿勢を示す必要がある。

 

 

 

説明力を強化するための参考例二つ

・博物館のボランティアガイドの説明を参考にする。

特に歴史的事象の説明がわかりやすい。

その際、生徒目線でガイドの説明に対して謙虚に耳を傾けるようにする。

・タクシーの運転手の生活実感あふれる説明を参考にするなど。

(現在、タクシーの運転手は難しい地理の試験に合格して採用されるといわれる。

その地域限定の生きた地理の知識、

そして最新情報の持ち主はタクシーの運転手であるといえる。)

授業展開によっては限られた時間で一部分の内容を要約し、

社会的事象の数々や

地理、歴史の重要語句を説明しなければならない場面がある。

例えば1分から3分前後でポイントをおさえ、

語りかけるようにその意味や概要を説明できる能力を磨かなければならない。

なぜならさまざまな学力レベルの生徒が一つの教室に集まっているということと

授業時間は50分と限られているからである。

その説明をもとに適宜、生徒に思考をうながす発問をし、

考えさせ、自分の言葉で表現する時間も確保する必要がある。

概念的、抽象的な知識の場合は、

一方的な説明で終わらせず、

具体的な事例や生徒の学力のレベルに合わせて

クイズを用意しながら理解に導いていく方法がある。

 

また生徒に話し合いをさせる時に話題を膨らませ、

軌道修正させ

適切なヒントやアドバイスを与えるなど、

状況に応じて発揮されるアドリブ力も身に着けたい。

私は正規の教師を60歳でいったん退職した後、

通訳案内士(英語)の活動を視野に入れ、

今その資格をとるための受験勉強の真最中でもある。

その1次試験の受験体験でわかったことであるが

受験科目の英語、日本地理、日本歴史、一般常識にわたる広範な知識

(本にすれば千数百ページ)を暗記するくらいの勢いで学習して

ようやく一次試験に合格できた。

しかしその知識は貴重で、

その広範な系統的知識があれば

クラスの実態や学力のレベル、諸単元のテーマの違いに応じても

全体を広く見渡す状態から

その知識を活用することができるということがわかった。

さらに日常的に幅広い読書と今回の体験的研修も含めて、

蓄積された知識の引き出しを多様な授業展開の中で出し入れし、

生徒の反応を見ながら練習と改善を繰り返す中で

説明力は磨かれていくことを実感している。

また、常にアンテナを高く張り、

複雑で変化の激しい社会の動向に合わせ

最新の知識、情報を得るように努めなければならない。

新学習指導要領で示されている新しい学習スタイルにも即対応し、

いつでも生徒に模範を示すことができるプロ意識とは

このような切磋琢磨があってこそ高められることも付け加えておきたい。