社会科に興味のある方必見です

2学年の社会科学習・授業内容 

**太平洋岸の100万人都市
 神戸、大阪、京都、名古屋、横浜、川崎、東京
 の面白知識、

 

 社会科が好きになるヒント 満載です。

 

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 神戸に関して・・・8月19日から23日までの       5・6
          夏休み体験的社会科研修日記

 

 大阪に関して・・・8月19日から23日までの        7
          夏休み体験的社会科研修日記
                

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 東京に関して・・・体験的研修のすすめ        
(皇居・旧江戸城

 

築地、熱海、飯能に関する面白知識満載です  
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  築地に関して・・・築地はすごいところ

  熱海に関して・・・8月19日から23日までの     10・11

           夏休み体験的研修のすすめ 

中学校社会科の醍醐味

体験的社会科研修のすすめ

・・・一斉授業が輝く
   生活者の視点から生きた知識を創る  

 

以下は私が社会科教員退職の前に書いた

実践報告書です。ぜひお読みください。

 

はじめに

私は本年、令和2年3月31日65歳をもって、

40数年間の社会科教師としての教員生活にピリオドを打った。

特に最後の約10年間は今振り返ってみると

私自身にとって劇的な展開があった。

私が三鷹市内のある公立中学校に勤務していたとき(54歳)、

春先に高血圧症が悪化して結局、

運動系の部活指導を断念することにした。

その結果土日や月曜日から金曜日までの

放課後の時間が

社会科の教材研究の時間にあてることができた。

その当時、2学年を受け持っていた私は

その年の10月実施の都内遠足の担当となり、

東京の名所を下見することになった。

東京には京都ほどの価値ある史跡や文化遺産は、

あまり残っていないのではないかと思い込んでいた私は、

皇居(旧江戸城や浅草を中心に

 

 

 

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江戸城天守閣台座 2009年10月撮影

明暦の大火(1657) で天守閣が焼失以後再建されていない

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北詰橋門付近の石垣 2009年10月撮影

江戸城の中でも圧倒的スケールで迫ってくる石垣

 

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江戸城桜田濠  2009年10月撮影

江戸城中では一番美しいとされる桜田

歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれた名景

 

 

いくつかの見学スポットを廻ったあとに、

 築地を訪れた。

この時の貴重な体験が、面白くためになる授業内容とは

「生活者の視点から生きた知識」を創ることにある

という発見に結び付いた。  ・・・続く

 

 

 

築地はすごいところ

 

 

築地はすごいところ!

築地は魚市場としてずっと有名だった。

豊洲に移転してからも築地ブランドは健在)

しかしこの地は明治維新のころ、

銀座より先に煉瓦造りの洋館が立ち並び、

外国人の居留地として栄え、

 

 

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築地 外国人居留地  2010年2月撮影

青山学院、立教学院などミッション系スクール発祥地

横浜は貿易商人等が多く、築地はキリスト教宣教師が多く移り住む。

 

 

幾つかのミッション系の学校の発祥地となったところでもある。

そればかりではない。

解体新書の翻訳がおこなわれたところであり、

慶應義塾発祥の地であり、

赤穂浪士の主君浅野長矩の屋敷があり、

坂本龍馬が一時寄宿生活を送った土佐藩中屋敷

勝海舟が教授を務めた軍艦操練所があったところでもある。

 

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解体新書翻訳・慶應義塾発祥の地 2010年2月撮影

 前野良沢屋敷跡 ここで杉田玄白らと解体新書

 の翻訳をおこなう。

 約100年後福沢諭吉がこの屋敷で塾を開く

 前野良沢福沢諭吉は同じ中津藩(大分県)の出身である。

 

さらに芥川龍之介の生誕地であり、

明治時代になり新聞など出版文化を支える

「活字発祥の地」も築地で

携帯電話のルーツともいわれる

電信創業の地でもあったということがわかった。

これら一つ一つの歴史的事実は人間の営みの集積である。

この地に暮らしていた福沢諭吉前野良沢坂本龍馬

そして東京出身の勝海舟などの教科書に載っている歴史上の人物といえども、

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勝海舟銅像 浅草 吾妻橋渡って墨田区役所近くにある。2009年4月撮影

上野の西郷さんの銅像と同じくらいというか

東京出身者の勝海舟銅像もっと有名になってもいいのではと思う。

 

青年時代剣術の腕を磨いた道場跡地の近くに建てられた。

勝海舟の生誕地は現在の両国駅から徒歩数分のところ

なんと赤穂浪士討ち入りの吉良邸の近くにある。

 

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無血開城会見地  JR田町駅徒歩数分のところにある。2009年撮影

勝海舟は江戸の無血開城にも貢献した。

東京(生粋の江戸っこ)出身のヒーローといえる。

 

一人の生活者としての人生がまずあり、

さまざまな人間関係があり、

喜怒哀楽があり、

衣食住の生活の連続があったはず。

また、日本は開国してから、

この地で欧米の外国人との交流があり、

すすんだ文化を積極的に摂取し、

より住みやすい生活、便利さ、快適さを求め、

それらの動きが文明開化

そして首都東京の大発展につながっていった。

そういう生活者の視点から

生きた知識が創られていくのではないか

というひらめきが自分の中に電撃のように走った。

このような生活と結びつく視点から得られた知識と

知的好奇心を喚起するような知識をもとに

授業を組み立てていけば、

生徒が乗ってくれ、面白い授業が実現できるのではないか。

この信念をもとにしてそれ以後も試行錯誤を繰り返しながら、

私はかつて社会科が知識偏重と

厳しいバッシングにさらされた暗記的知識ではなく、

「生きた知識を創る」ことが

社会科の授業づくりの基本となるものであり、

本来のあり方であるという確信をもちながら、

教材研究を積み重ねていった。 

その成果を授業実践中心に原稿にまとめ、

60歳の時には読売教育賞優秀賞をいただくことができた。

60歳以後も今年の3月65歳で引退するまでの間、

非常勤教員としてこの授業づくりに専念した。

そして今回は

「生活者の視点から生きた知識を創る体験的社会科研修のすすめ」

と題して社会科教師の側に立った研修を中心とする

実践報告書をまとめることにした。

昨今教師の多忙化で教材研究や

研修の時間がなかなか確保できない中で、

多岐にわたる業務に奮闘される先生方の負担の軽減と

日頃の授業づくりのヒントになればという思いを念頭に置きながら、

私の社会科教師生活の卒業実践報告の意味合いも込め、

昨年の4月からこの研修への取り組みをスタートさせた。

 

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このブログのタイトルの背景に選んだ写真は築地にある聖路加病院の裏手から眺めた隅田川の景色。

築地は東京湾に流れ注ぐ隅田川の河口あたりにあることがよくわかる。2009年2月撮影

 

 ・・・続く

中身の濃~い5日間の体験的社会科研修旅行

研修内容については、2019年度東村山市内のある公立中学校で

私が担当していた2学年の

地理的分野、歴史的分野の授業の年間指導計画の中心部分にあたる

主に2学期の単元を対象とした。

 

 はじめに社会科の目標(全体・地理的分野・歴史的分野)の一つ一つを確認した。

その目標に沿って授業づくりに直接役立つ内容の

必要項目のチェックリストを作り、

それに見合った研修の目的地や

コース設定、事前研究にも力を注いだ。

その結果、夏休みの5日間という短い日数の研修期間

(8月19日~23日)だったにもかかわらず

社会科教師に必要な授業改善や授業力向上のための研修のエッセンスを

盛り込む内容にすることができた。

 

夏休み5日間の体験的社会科研修

 夏休み5日間の研修の成果を1~7にまとめた。

1.2学期からは2学年の授業は地理的分野では近畿地方から関東地方にかけて、

歴史的分野は江戸時代から明治時代までが対象となる。

その多くの部分を時間的空間的にカバーすることができた。

特に今回は太平洋ベルト地帯の中核部分の人口100万人以上の大都市でもある

神戸、大阪、京都、名古屋、横浜、川崎、東京の全てを二日間で廻ることによっ                     様々な意味で影響力を持つこれらの地域の地域的特色やそれぞれの大都市の性格、 共通点や相違点、過密化の問題、有機的関連が把握できたこと、

特に教科書に載っていない外国人居留地の重要性を再認識できたこと。

そして近世、近現代の時代を大観するということが

どのようなことなのかがわかるようになってきたこと。

 

2.授業であつかう社会的事象に関する生きた知識と

最新情報は教師自らが現地に赴いて実際に歩いて発見して

手に入れることが最適であること。

 

3.今回は社会科教師として美的感性を磨くことをテーマの一つにしたが

東京国立博物館名古屋城本丸御殿、熱海MOA美術館

見学、鑑賞して改めてその大切さが身に染みてわかったこと。

 

4.各博物館・資料館で購入したガイドブックや

入手した資料は近世・近代・現代史の授業で使える生きた資料として

大いに役立つことがわかったこと。(特に江戸東京博物館、横浜開港資料館)

 

5.充実した観光旅行とは生きた地理や歴史の生涯学習そのものであるということがわ  かったこと。

 

6.地歴融合の考えを活かした授業をどのようにすすめたら良いかの大きなヒントが得られたこと。

 

7.机上の世界では味わえない未知の世界の発見の連続で、視野が広がり、社会科の専門知識を深め、心の充電ができたこと。

 

 

 

8月19日~23日までの5日間の夏休みの体験的社会科研修日記 1

 

研修内容をより具体的に実感してもらうため

日記風に記述し、

「生きた知識」の実例を豊富に紹介した。

特に「生きた知識」を得ることは面白い

ということを実感していただければ幸いである。

 

5日間の研修日程                    

8月19日(月) 東京国立博物館(上野)  アンテナショップ(都内)

8月20日(火) 江戸東京博物館(両国)  歌舞伎座ギャラリー(東銀座)

8月21日(水) 神戸⇒大阪⇒京都⇒名古屋

8月22日(木) 東村山ふるさと歴史館    大型書店(立川)

8月23日(金) 熱海⇒横浜⇒川

 

8月19日(月) 見学時間 午前10:0012:30  東京国立博物館

東京国立博物館は国宝が89も所蔵され、

これは全国一の密度を誇る。

最初にガイドブック『一歩近づいて見る日本の美術』を購入した。

館内は一日では回り切れないほど広く、

今日は特に江戸時代の美術を中心に

なかでも浮世絵に的をしぼって見学した。

 

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東京国立博物館 本館 :屋根は瓦屋根風の日本風、外観は洋風  2009年12月撮影

      ほかに敷地内6つのユニークなデザインの建物の中に計2000点を常時展示公開

写真撮影の2009年、来館者数当時世界トップを記録した「阿修羅展」開催期間3か月間で

90万人以上、さすが「阿修羅像」は集客力日本一のすさまじい人気の仏像

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表慶館

 

葛飾北斎歌川広重の浮世絵は世界的にも評価が高いが、

なぜかこのような有名な浮世絵作品は

いままで一つも国宝の指定を受けていない。

江戸時代の後期、庶民の高い需要に応じて

大量印刷が可能となり、

複製画が多いからか?

しかし、浮世絵の元祖といわれる菱川師宣の「見返り美人図」

はそうした木版画ではなく肉質画である。

この手書きの着物姿の独特の質感のある美しさは

到底教科書の写真では味わえない。

 ほかにも多くの名品と対面しながら

「美しいものを美しいと感じる」

感性を磨くことの大切さを

ひしひしと感じる。

生徒が実際に博物館に足を運びたくなるように

これらの作品の素晴らしさをどのように表現したら良いかを考えさせられた。

 今回は音声ガイドも借りた。

総じて学問的見地からの格調高い解説であった。

 

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東京国立博物館(愛称トーハク)のガイドブック 

右のハンドブック表紙をめくると

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なんと「見返り美人図」があらわれる。




 

8月19日~23日までの5日間の夏休みの体験的社会科研修日記 2

 

都内 アンテナショップ  午後2:002:50

都内のとあるアンテナショップが集中するビルの中を見学する。

アンテナショップは現地へ直接行かなくても

都内に散在する全国各地の名産品を見学し、購入し、

それらを教室で実物教材として使用できるところが大きな魅力である。

 

例)和歌山県のアンテナショップ:

南高梅を購入。6月、梅雨の時期に完熟梅を収穫して梅干しをつくる。

粒が大きく、皮が薄く、種が小さい、

ということは果肉が多くボリュームがあり、

梅の香りが濃厚である。

 

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有楽町駅前交通会館アンテナショップ 2020年2月撮影

             

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南高梅 2020年2月撮影

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南高梅 2020年2月撮影

実物を教室で見せ、なぜ日本一の生産県になったかにつなげる。

実物教材を活かす例としてほかに、近くのスーパーで秋の旬のもの

「ぶどう、栗、きのこ」などを買い、

プラスチック製の箱を用意して

さきほどの秋の旬のものを入れ、

生徒に秋の味覚とは何かと問いかけながら授業をすすめる。

これはたいへん盛り上がる。生徒に旬のものがあること、

季節感の大切さをぜひ気づかせたい。





 

8月19日~23日までの5日間の夏休みの体験的社会科研修日記 3

8月20日(火) 見学時間 午前9:30~12:10 江戸東京博物館

 

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江戸東京博物館 2009年8月撮影

江戸東京博物館では『常設展示総合図録』と『模型で見る江戸東京』

の2冊を購入した。

 

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江戸東京博物館ガイド 2009年8月撮影



これらのガイドブックは実物模型の写真が多く取り入れてあり、

江戸庶民の衣食住の生活、娯楽など当時の生活の様子が

直接伝わってくるので授業に使える資料が満載だ。

今回はボランティアガイドに館内を案内してもらう。

ガイドは専門用語をほとんど使わずわかりやすく説明してくれた。

 「江戸時代、明暦の大火のあと、

その瓦礫で海を埋め立てて新しい土地がつくられました。

それが築地です。

魚市場は日本橋から築地へと関東大震災後移転しました。」

という説明が印象に残っている。

授業の際の説明がどうすればわかりやすく生徒に伝わるかとても参考になった。

 

新学習指導要領では近世・近現代が重要視されている。

授業内容が複雑化し、公民的分野の政治、経済の比較的難しい知識も

必要とするこの時代を

どういう流れで授業をすすめていったら良いか迷っているとき、

江戸・東京の庶民のくらしを中心に生活者の視点から

実物、模型展示、写真を多く取り入れ紹介し、

立体的にその時代の特色を浮かび上がらせた

江戸ゾーン、東京ゾーンを

見学することにより近世・近現代の全体像を

イメージ化(時代を大観する)

することができることは実にありがたい。

 

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 江戸時代 両国橋のたもと 水菓子売り

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戦時下の下町木造家屋復元:上下写真とも江戸東京博物館ガイドより

この博物館にはこのような当時の生活のようすを伝える

実物模型やジオラマがたくさんあり、タイムスリップ

したような気分になれる。


 

また、このような見学は、

単元計画の作成や授業を構想するときにたいへん役立つ。

今回は立ち寄れなかったが

この博物館は7階に図書館、資料閲覧室があり

近世・近現代の江戸東京に関する豊富な資料が整理され、

授業に使える資料を探すのもそれほど手間がかからない。

必要な分はコピーサービスを利用して手に入れることができる。

自分で実際に現地を訪れて、最新の資料を入手し、

それらが生徒にとって有効な資料であるかどうかも現地で、

現場感覚で判断することが何よりも大切なことだと思う。

生徒に対しては休みの日を利用して

こうした博物館や美術館

(中学生入館料無料のところが多い)を訪れ、

直接自分の目で確かめ、

本物の価値にふれる素晴らしさを体験してほしいと呼びかけたい。